
日本のワイン
山梨県甲州市勝沼。いわずと知れた国産ワインの代表的な産地です。山梨県は日本国内の葡萄生産の26%を占め全国一位。風光明媚なこの土地は、富士山の伏流水に恵まれており古来よりブドウ栽培に適した土地としてワインの醸造に最適の環境でした。ワインの原料となる葡萄は、白ワインは甲州葡萄、赤ワインは「マスカット・ベリーA」を主としており、近年では「メルロー」などのワイン専用のヨーロッパ品種も導入されるようになりました。山梨のワイン産業は、明治初期に勝沼の二人の青年がフランスで学んだワイン醸造技術を広めて以来、着実に発展し現在では約80のワイナリーがあるワイン産地となりました。
国産ワインの大きな特徴として「和食に合う」という点が挙げられます。日本の甲州種ブドウなど日本のオリジナル品種で造られるワインは和食の基本たる味噌や醤油、お酢などと相性がよく、海の幸、それも生魚と合わせても楽しめるワインなのです。最近ではスパークリングなど様々なタイプのワインも精力的に醸造されるようになり、和食ブームに沸く海外でも注目を集めて国内外でも高い評価を獲得しています。
時と想いを込めたワイン
中央高速道路勝沼インターを降りて、一面のぶどう畑を北へ登ると国道411号の傍らに、中央葡萄酒株式会社があります。蔦が建物を覆い、どこかノスタルジックな雰囲気と存在感が漂うグレイスワイナリー。1923年に創業した歴史ある勝沼・グレイスワイナリーは、甲州ワインの伝統を継承しながらも革新を重ねて、その名を世界に馳せるワイナリーとして知られています。ボトルラベルは白をベースとした品のあるデザインが印象的。味わって楽しみ、見て楽しめるワインとして随所にこだわりを感じさせてくれます。
近年では、ロンドンで開催されるデキャンタワールドワインアワーズ(DWWA)国際ワインコンクールでも甲州初のシルバーメダルを受賞したことで、甲州ワインが世界へ名を轟かせる一躍を記しました。これまでは、アルコール度数が高く香りが立ち易くてボリューム感のある甲州ワインでないと世界に認められることは難しいと思われていました。ヨーロッパの法律で造ったワインで甲州初のシルバーメダル受賞は、甲州の特徴でもある香りやボリュームが控えめでありながら「存在感のある繊細さ」が評価された理由なのかもしれません。低アルコールでありながらも香りや風味など奥ゆかしさを感じさせてくれる甲州。そんな今までの常識を覆すくらいの魅力に魅了されるはずです。



