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斬る

仁・義・礼・智・信。礼に始まり礼に終わり、かつて日本人が持っていた崇高な精神を体現する居合道を目の当たりにし、自分の中にある忘れかけていた和の心が揺さぶられた気がします。 居合とは日本刀を使って抜刀から鞘に収める納刀、および諸作法を通じて武道としての技術の修練だけでなく、気迫と風格に満ちた人格の形成なども含めた自己修練のことであり、決して「斬る」ことが目的ではありません。人を殺める剣ではなく人を活かす剣。すなわち活人剣とは不義・不正・迷いなどを切り捨てることを目指しています。それは生命を断つかどうかの問題ではなく、人を活かすか殺すかの心の持ちよう、刀の使い方によるものだといいます。神刀流渡辺派居合道 東海本部正武塾の望月武士さんは「今では外国の人こそ日本のことをよく学び“和”の作法や考え方を大事にしていますね。日本人も見習わなければいけないかもしれません」と教えてくれました。居合抜刀術のみならず、二丁鎌や手裏剣など武道に精通した望月さんのもとには国籍を問わず生徒さんが集まるそうです。居合道。その所作、そして一瞬の太刀筋の圧倒的な迫力には、他ならぬ侍の和の心が宿っています。