TOP > 和の家がスキ!

千利休、古田織部。茶の湯や華道など風流を好む人のことを「数寄者(すきもの)」と呼びました。

和室や茶室など風情があり迫力と安らぎを両立させている和の空間。そんな場所で普段の生活ができたら、ちょっと「数寄者」になれるかもしれません。

「和」の家に住んでみたい!

こういった人は現代でも少なくないのだとか。何も年配の方だけではなく、家族の「和」を大切にする若い人達にもこの傾向は見受けられるそうです。

しかし今はなんでも効率優先の時代。意匠に溢れ手間と心遣いのかかる本格和風住宅を造り続ける職人は少なくなりつつあります。

富士市で活躍する小笠原建築の若き棟梁、小笠原紀和さんは大工歴20年超の職人。自らの目で木を選び、お施主さんと会話をし、熟練の技で腕を振るいます。

技術と知恵を持った大工であるからこそできる数寄屋風の家、入母屋の屋根、わずかに勾配のついた組天井や迫力のある化粧梁。足を踏み入れた時にふわっと香る無垢の木の香り。秋田杉、青森ひば、木曽ひのきや天竜杉。銘木と呼ばれる木材がさりげない主張をする空間は、木が好きな方ならきっと気に入ってくれるはず。

寺社建築などでも使われる入母屋屋根、旅館や料亭などでも見られる数寄屋造り。もちろん現代にはちょっと威圧感すら感じるコテコテの「和」と捉えることもできますが、そこは若さのある大工。現代風のアレンジにも対応可能。すっきりとした納め方には目を見張るものがあります。

大きな声ではいえませんが、木の刻み方や継ぎ方を知らなかったり、カンナやノミなど道具の使い方さえもままならない大工さんもいるのだとか。

うわべだけの技術ではなく、昔から伝承される大工の技に、断熱性や気密性、耐震性などを高めた、性能の高い本格和風住宅は住み心地もいいものです。

「和」の家には好みもあるかと思います。それは否定するものではありません。特に家を建てるなんてことになったら一生に一度ですから慎重にもなるでしょう。

でも、せっかくモノアルを読んでいただき「和」のことを思ってくれたなら、和風建築にも触れてみてほしいなと思います。

取材・撮影協力/株式会社小笠原建築